Congratulation to A＜Sweet version＞
―尭村成仁人気投票１位記念ＳＳ―
「あああっつい！ こんな中でバスケなんかやってられっか！ 直火だぜ、直火っ」
森下の叫びに、みな同調するようにへろへろと頷く。
「なんで女子は体育館なのに、俺らだけ炎天下なんだよぉ」
まだ５月だというのに真夏並みの照り返し。しかも昼休み前の四限で最も日差しが強い時間帯。ほとんどヤケクソで照っているとしか思えぬほど盛んな太陽に灼かれた青葉が、ぎらぎらと輝いて余計に暑さを煽っていた。
普段ならこうした森下の言葉になど一瞥もくれず、「うるせえ」だの「うぜえ」だの素っ気ないひと言であっさり躱す尭村も、今日ばかりは同意せずにはいられなかった。
「このクソ暑い中でバスケかよ。もう少し考えろよな、ったく」
すると背後から体育教師がぬっと顔を出し、
「そうか、ならマラソンに変更するか。その方が俺も楽だしな。お前らが炎天下走っているのを、木蔭から眺めてりゃいいんだから」
森下は慌てて尭村の腕を掴み、
「さあ、バスケだっ。がんばるぞ。地球温暖化になんか負けるかっ」
コートの中へぐいぐい引っ張ってゆく。尭村は軽く舌打ちして手を払うと、何を思ったかシャツに手をかけて豪快に脱ぎ捨てた。
「おい、何してんだよ、お前」
「汗で貼り付いて気持ち悪ぃんだよ。ああ、これなら何とか凌げそうだ」
そして気持ちよさそうに伸びをする。森下はその様子を見てううむと唸り、自分も同様にシャツを脱ぎ捨てた。
「おお、風が気持ちいいな。やっぱりまだ５月だから湿気もねえし」
そしてさあやるぞーと元気よく号令をかける。それを見ていた他の連中も脱ごうとしたが、はたと手を止めた。堂々と裸を晒せるほど、自分のカラダに自信がないことを思い出したのだ。
彼らは尭村たちを眩しそうに眺めては、はあ、と情けない溜め息をつくばかりだった。
「おおっ、片瀬も脱いだのか。気持ちいいだろ？」
「まあな。裸でバスケ、ってのも何とも異様な光景だが」
「まあまあ。若さ弾ける、ってカンジでいいじゃねーか。それより藤崎は脱がねえのか？」
森下の笑いを含んだ指摘に、冷たく突き刺す視線で応える片瀬。その隣で薫は見るからにぶーたれている。
「俺も脱ぐって言ったのに、圭祐がふざけんなって怒るから………」
「当たり前だ。ほら、さっさとコートに入れ」
不貞腐れた子供みたいに手を引かれて、二人一緒にコートに入る。その背中を見送りつつ、森下は「お熱いことで」と寒い台詞を吐いた。
その騒ぎは、ある女子生徒の甘ったるい悲鳴から始まった。窓際の席で大人しく授業を受けていた彼女だったが、何気なく視線を窓の外へ向けた瞬間、飛び込んできた光景に思わず声を上げてしまったのだ。
「きゃあっ、うそぉぉ………」
迷わず席を立ち、窓にぺったり貼り付いて外のグラウンドに濃厚な眼差しを送る。すると何事かとつられて、他の生徒たちも首を伸ばして窓から外を眺めた。
「きゃああ〜〜〜」
途端に黄色い歓声が沸き上がり、窓辺に人だかりができた。
「何をしてるんだ！ 早く席に戻りなさい！」
教師の叱責などどこ吹く風。頬を赤く染め小鼻を膨らませた、欲情してると言っても過言ではない顔を窓ガラスに貼り付けてある者はうっとりと、ある者は喉の奥で悲鳴を上げ、ある者は目を潤ませて食い入るように見ている。
「なんだなんだぁ？ 飴でも降ってきたか。それともディカプリオが現れたか」
騒動好きの直はふざけた調子で言いながら、窓辺に駆け寄った。そしてかぶりつきの女子たちと同じものを見ると「おおっ」と声を上げ、この騒ぎにもかかわらずうとうと船を漕いでいる純の肩をわしわしと揺らした。
「純、純っ。ほらっ、尭村さんが―――」
「ふぇぇ？ あきむらさん……？」
まだ寝惚け気味の危うい呂律で答えつつ、直に腕を引かれて窓際へ。「ほらっ」と指差された方を見ると、ぱちぱちと大きく瞬きをして「あきむらさんだぁ〜」と嬉しそうに声を上げた。
視線の先には、長い手足を時には優雅に、時には敏捷に動かしてボールを巧みにさばき、見事に試合をリードする尭村の姿が。
純は、尭村が何かに没頭している姿を眺めるのが好きだった。例えば、純を傍に置いて無意識のうちにその頭や頬を撫でつつ、読書に没頭している横顔。
自分が関与できない世界にいる尭村は近寄り難い澄んだ美しさをまとっており、初めて会った時のような胸の高鳴りを覚えてしまうのだ。
しかも今、尭村は上半身裸だった。逞しい二の腕や厚く硬い胸、引き締まった腹筋などが汗に濡れて輝いている。
普段、あの胸に当然のように顔をうずめて甘え、あの身体に抱かれているのかと思うと、今さらながらに頬が赤らんでしまう。純は俯いて熱い溜め息を吐き、身体の中で上昇しつつある熱気を外へ送り出した。
しかし、熱くなっているのは純だけではなかった。いや寧ろ、周りの観衆の方がより一層沸き返っていた。
彼女らは窓にかじり付いて、身内の高揚をそのまま露呈する浮ついた口調で思い思いの感想を言い合う。
「尭村せんぱい、すっごいキレイな身体……芸術品よね………」
「見てぇ、色っぽい鎖骨。筋肉の陰翳もたまんない………」
「男の裸って、こんなに美しいんだねぇ」
「っていうか、あのカラダ超エロすぎ……」
そんな熱っぽい称賛や、明らさまに性的な匂いのする感想に、純の表情は徐々に曇っていった。と思ったら貼り付いていた窓から離れて自分の席に駆け戻り、机に突っ伏してしまう。
直に「どしたんだぁ？」と声を掛けられても答えず、頑なに無視して結局授業中はずっとそのままだった。
やがて終了のベルが鳴るとぴょこんと跳ね起き、猛ダッシュで教室を飛び出していった。直はぱちくりと大きく瞬きをして、
「なあ秀。純の奴どうしちゃったんだろ。何かヘンだよなあ」
しかし秀はちらと肩を竦めて、
「放っておけよ。あいつも人並みに嫉妬するってことだ。我慢してるよりずっといい」
「嫉妬？ 純が嫉妬したのか？ なんで？ 誰に？」
立て続けの質問に濃厚な溜め息で応え、秀はこの恋愛感情の機微にはさっぱりな兄の頭をよしよしと撫でた。
「そんなことより、今日の日替わりはお前の好きなチキンのトマト煮込みだぞ。早く行かねえと売り切れちまう」
「うをっ、そうだったぁ。純には悪いけど今はチキンの方が大事。行くぞっ、秀！」
直はがばと立ち上がると、苦笑を浮かべる秀の腕をわしっと掴んで引きずるように教室を出て行ったのだった。
「あっぢぃな、くそー。早くシャワー浴びてえ〜。尭村、どうする？」
「クラブハウスのシャワー借りようぜ。片瀬も行くか？」
「もちろん。このままじゃ飯食う気も起こらねえ」
汗に濡れた上半身を晒す尭村、森下、片瀬と、その隣でまだむくれている薫の４人は連れ立ってグラウンドを後にしようとしていた。その頃には周辺にも人が集まり始めており、みな顔を赤らめて遠巻きに眺めている。
女子生徒ばかりではなく、密かに尭村に憧れを抱いている男子生徒も瞬きを惜しんで熱い視線を送り、濃厚な色気を放つ鍛えられた身体をなるべく深く網膜に刻み込もうとした。
尭村が脱いだシャツを肩に掛け、くるりと振り向いて歩き出すと、周囲から「キャアッ」と甲高い悲鳴が湧く。しかし当の本人は熱い視線に気付かないのか慣れて麻痺しているのか、気にする様子もない。その時、
「あきむらさんッ」
聞き慣れた声は珍しく尖っていた。見ればここまで走ってきたのか、激しく肩を上下させ真っ赤な顔でこちらを睨んでいる。
「どうしたんだ？ 純。そんな面白え顔して」
「お、怒ってるんですっ！」
きょとんとした表情で見つめ返す尭村の傍にどかどかと歩み寄ると、両手を広げてその身体にぎゅっと抱き付いた。
人前で抱き合ったりするのが苦手なはずの純の突飛な行動に、尭村は驚きを隠せず「ど、どうしたんだ、お前」とどもりつつ質す。しかし純は離れようとせず、いやいやと首を振って、
「だめっ、だめなの！ 絶対にだめぇ」
「はあ？ 何言ってんだ、お前。こら、離れろ。汚れるぞ」
「いやっ。シャツ着てくれるまでは離れないもん！」
この言葉で、純が何に怒って喚いているのか分かった。但し、当の尭村以外は。
「おい尭村、それ着てやれよ」
森下の宥めにも眉根を寄せて、
「冗談だろ。こんなびしょ濡れの気持ち悪くて着れるか。純、訳わかんねえこと言ってないで先にいつもんとこ行ってろ。シャワー浴びて着替えたらすぐ行くから」
そう言って、抱き付いている純の身体をぐいと押し戻す。咎めるような拗ねるような潤んだ目で見上げた純は、無言のままぷいとそっぽを向いて走り去ってしまった。尭村はその後ろ姿を見送りつつ、
「なんだぁ？ あいつ」
やはり純が何に怒っているのか思い当たらず、首を傾げながらクラブハウスに向かった。その後ろを歩く薫は声を低めて、
「尭村ってさあ、自分は嫉妬深いくせにこういうことには鈍感なんだな」
「そうだな。ま、尭村が羨ましくもあるがな。俺もあんな風に嫉妬されたかった」
片瀬の言葉に真っ赤な顔で「誰が嫉妬なんかするかっ！」と喚き返して、薫はずんずんと足を速めて尭村を追い越していったのだった。
いつもの場所、二人だけの場所。緩やかな傾斜に柔らかな芝生、涼しい木蔭―――そこで純は足を抱え、小さく丸まって座っていた。背中にどよーんと重い暗雲をしょって。
―――尭村さんのばか、ばかぁ………
その時、背後でカサリと草が鳴った。いつもならくるっと振り向いて、「あきむらさぁん」と甘えた声で迎えるのだが、今日はとてもそんな気になれない。
余計にちぢこまって近付く足音に耳を傾けていると、ドサ、と隣に腰を下ろした。と同時に、石けんの香りがふわりと立ちのぼる。
「純、」
艶やかなテノールで名前を呼ばれ、とくん、と大きく鼓動が鳴った。
「純、こっちを向け」
尭村の命令は、純の意志を麻痺させる甘い媚薬。操り人形のようにゆるゆると顔を上げ、黒い瞳に映り込んだ自分の顔を見つめた。それは、今にも泣き出しそうに歪んでいた。
さすがの尭村も心配になったのか、口調を緩めて「さっきはどうしたんだ？」と訊ねる。しかし純は首を振るばかり。尭村は根気よく問いを重ね、純の頬を優しく撫でた。
「何を怒ってたんだ？ ちゃんと言わなきゃ分からねえぞ」
「……言ったって、どうせ分かってくれないもん」
「なに不貞腐れてんだよ、お前らしくねえぞ―――」
「他のひとに裸見せちゃいやって言ったって、どうせ分かってくれないもん！」
確かに純の言う通りだった。何を言っているのか理解できず、尭村はぽかんと口を開ける。すると純は胸にすがり付いて、
「ばかばかぁ………ぼくが、雪仁くんとプールに入っただけで怒るくせに、自分は……自分はっ…………」
「お、おい……純…………」
「みんなみんな尭村さんのこといやらしい目で見てっ、それでいやらしいことゆって………だめだめぇ………ぜったいにだめぇ………僕のなんだから見ちゃだめっ」
さっきは胸の奥で叫ぶだけで言えなかったことを、全て吐き出した。そしてひくひくと肩を揺らして嗚咽を呑み込む。
尭村は暫し呆然としていたが、やがてあやすように背中を撫でて、
「悪かった。全く気が回らなかった。純……悪かった」
しかし純はぷるぷると首を振って、
「いや……ゆるしてあげないもん………」
尭村は少し困ったように眉根を寄せて、「どうしたら許してくれる」と囁くように問う。と思ったら、返答に窮して黙り込む純の耳許に唇を近づけ、ねっとりとした甘い声で、
「お仕置きか？ ん？」
耳から注ぎ込まれた媚薬は余りに蠱惑的で、純はぴくんと身体を震わせた。尭村は嫌らしく唇を緩めて、
「いいぜ、ほら。受けてやるよ……」
緩やかな傾斜の上にごろんと横になった。お仕置きだなんてそんなつもり毛頭なく、ただちょっと駄々を捏ねてみせただけの純だったから、どうしてよいか分からずあわあわしてしまう。
もういいんです、起きてください、そう言おうとしたのだが、にやにや笑いつつ面白そうにこちらを眺めている尭村を見て、純の僅かなプライドが疼き出した。
とはいえ、お仕置きなんてされるばかりだったから、何をどうすればいいのか皆目見当がつかない。けれどここでやめるわけにはいかず、ともかく股間に手を伸ばしてベルトを外し、ジッパーを下ろしてジーンズをずり下ろした。
そして考えるより早くその盛り上がった部分に顔を寄せ、下着の上からふわふわと唇を押し当てる。
「………っく」
頭上から降るこもった呻きに煽られて、純はさらに強く唇を押し付けては、早まる血流や鼓動を下着越しに感じ取った。さらに口を少し開いて、すごい勢いで形を変えつつあるモノを唇で挟み込み、下着ごとはむはむする。
すると純の頭を優しく撫でていた手がびくんと跳ねて、何かに耐えるかのように強張った。
純はいったん口を離し、きちきちに張り詰めて先走りの染みが広がる股間を愛おしそうに眺める。そして中身を解放してやるために下着をそおっと下ろすと、汁を飛ばしながら巨大な一物が跳ね出てきた。
「んっ………」
純は僅かなためらいも見せず、先端から咥え込んでちゅっちゅっと吸い上げる。これ以上の膨張はあり得ないだろうと思われたモノは口の中でさらに膨れ上がり、純の喉奥をぬるぬると突付いた。
舌を絡めて喉をきゅぅっと締めると、生温かい液体が口腔に溢れた。純は喉を鳴らしてそれを嚥下する。そして口を離して先端をぺろぺろ舐めると、
「まだイッちゃだぁめ」
と甘えた声で言い置いて、手の中のモノをめっと可愛く睨み付けた。
「くっそ………我慢できるかっ…………」
尭村の半ばやけっぱちな非難を艶やかな笑みで躱して、純は自分の前を寛げた。さすがに恥ずかしいのか、耳たぶを赤く染めて俯き加減のまま下着ごと脱ぐ。
乳白色の嫋やかな下肢を惜しげもなく晒しつつ、尭村の上に跨って「ふふっ」と秘めやかな微笑みを向けた。それだけでイッてしまってもおかしくないほどの、目眩く媚態。
尭村は起き上がって有無を言わせず組み敷こうとしたが、ここは純の好きにさせるべきだと自分を宥めて何とかこらえた。
「んっ……んふっ………」
そうしてる間にも、純は自身の蕾に尭村の先走りを塗り付け、指を埋め込んで自ら咲かせる。胸を反らせて時折ぴくぴくと痙攣しつつ、埋め込んだ指を揺り動かして蜜壷を広げていった。
微かに綻んだ唇から濡れた喘ぎを漏らす純は、蜜を滴らせて男を誘う官能の華そのもの。その艶やかな姿態に見惚れながらやがて訪れる快楽の瞬間を想い、尭村は早々と胸の奥で敗北を宣言した。
「あきむらさぁん……お尻、広げて…………」
尭村は言われた通り尻たぶを掴み、左右に割り広げる。純は片手を尭村の胸に置いて身体を支え、片手で太い楔を掴んでその先端をぬめる花芯に宛がった。
そしてゆっくりと、裂かれる感覚を身体全体に行き渡らせるかのように腰を落としてゆく。
「ァ………ァ、ァ……………ぁっ……ぁぅ…ん……………」
根元まで呑み込んで、柔らかな尻たぶを股間にぎゅっと押し付けると、純の下肢はぶるぶる震えて交わる悦びに沸いた。
「す…ごぉい………お尻の奥がどくどくゆってるの…………」
惚然と呟きながら、尭村の肩に両手を付いて背中を反らし、尻を持ち上げる。必然的に埋め込まれたモノはずるずると引きずり出されるが、次の瞬間勢いよく尻を落として自ら奥を穿つ。
ぐちゃっ、という淫音と純の嬌声が混じり合ってできた快楽の調べは、尭村の耳をあらゆる感覚を容赦なく燃え上がらせた。
「純っ…………ぅ、ぅっ………くっそ、もたねえ…………」
情けないなどと反省する余裕もなく、尭村は正直に告げる。しかし純は首を振って、
「だめっ、だめぇ………先に……イッちゃだめなのぅ…………」
「くッ………これ…が………お仕置き、か……？」
純は答える代わりに括約筋に力を入れて後ろを窄めた。そしてその状態で注挿を再開させる。
「ひぅッ………ぅっ、ぅぁっ、ぁっ、ぁぁっ…………ぁぁぁ………イイ、イイのぅ………」
「純ッ……」
尭村も純の腰を掴み、自らがくがくと股間を上下させて交わりの密度を濃くする。やがて―――
「あっ、ああっ………あああああ………イ…クぅッ…………」
尭村の肩に爪を立て、喉を反らして高らかに鳴いた。と同時に白い飛沫をびゅくびゅくと吹き上げる。それを確認した尭村は、最後にズン、と突き上げて、激しく収縮する柔肉の奥へ勢いよく放出した。
「あ……はぁ………ああ…ん………ん、んっ…………」
射精の余韻はもちろん、加えて尻の奥にじゅわじゅわ広がっては騒ぐ種たちを、純はうっとりと目を細めて反芻した。
「純………中に出しちまったぞ。どうするんだよ。お前が…煽るから」
「ん……いいの。欲しかったんだもん………」
「しょうがねえな、まだ授業が残ってるのに」
珍しく真面目なことを言うな思ったら、純の身体を持ち上げて挿れっぱなしの自身を引き抜き、
「俺が掻き出してやるよ」
身体をくるりと半回転させて後ろから抱き締めた。そして脚を開かせて濡れた股間を探り、熟した部分に指を２本ぐじゅりと突き入れる。
「あああッ、いやっ、いやぁっ、も、だめぇぇ………」
「何がだめなんだ？ 掻き出してやってるのに」
笑いを含んだ声で囁きながら指を小刻みに揺らしてじれったい刺激を与え、さらに耳の中を舐め回して耳たぶを吸った。
「おねがぁい……も、やめっ…………ヒッ…ィ…………」
純のおねがいをどのように解釈したのか、尭村は指を抜いて純の身体を持ち上げ、再び臨戦体勢の自身の上にずぶずぶと落としていった。
「あああああーーーーーッ」
純は折り曲げられた脚で空を蹴って、四肢を駆け巡る衝撃を訴えた。蕩ける媚肉が刻み込む快楽の凄まじさに、尭村も思わず顔をしかめる。しかし何とか平静を装って、抱えた身体を軽く揺さぶりながら、
「す…げえたまんねえ………。なあ純、これも俺へのお仕置きなんだろ………？」
「んっ……ぅ………そう……おしおき、だもん………」
「そうか。今回は俺が悪かった……。だから甘んじて受けるよ。そら」
深刻ぶった声でそう言って、グゥンと腰を突き上げた。
「キャアアッ、いやっ、いやああ………ゆるしてぇ…………」
「それは俺の台詞だろ？ お仕置きを受けてんのは俺だぜ？」
「んあっ、ああっ、ばかぁ、いじわる、いじわるぅぅ………」
涙を振りまいて叫び、喘ぐ純をぎらぎらとぬめる瞳で見据え、尭村は低い声で囁いた。
「純、もっと、もっと嫉妬しろ………そして俺を……めちゃくちゃに縛り付けてみろっ」
「あああッ、あきむらさぁん………ぼくの、僕だけのっ…………」
泣き叫びながらも濃い所有欲を露わにした純を、尭村はありったけの力を込めて抱き締めた。
尭村が残りの授業に出る気など端からなかったと知ったのは、それから二度ほどイカされてからのことだった―――
（Fin）
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