真昼の情事
―お泊まり編―
「ふわ……立派なお家だぁ………」
『桐生』の表札が掛かった門前で、純は溜め息混じりに呟いた。少し躊躇したのち意を決して呼び鈴を鳴らすと、ほぼ同時に扉が開いた。どうやら玄関口で、純の来訪を今か今かと待っていたようだ。
「あ……どうぞ」
勢い込んで迎えに出たはいいけれど、何と挨拶してよいか分からず口ごもってしまう。結局雪仁は、不貞腐れたような声でぼそりとそう言っただけで、照れ臭そうに目線を逸らした。
対して純は、「お邪魔します」と丁寧に頭を下げる。そしてふふっと笑い、
「なんか緊張しちゃうね。雪仁くんがうちに来た時の気持ちがよく分かるよ」
緊張してるのは僕も同じだよ、そんな言外の宥めに純の優しさを感じた雪仁は、ようやく視線を戻して「ようこそ」と笑顔を見せた。そして、純が大きな荷物を持ったままなのに気付くと、慌てて近寄って奪い取った。
「迎えに行きます、って言ったのに。重かったでしょう？」
「ううん、平気。ちょっと色々買い込んじゃった。張り切り過ぎかなあ」
今日は、両親が海外旅行で不在の雪仁に、夕食を作ってあげるために訪れたのだ。雪仁は俯いたままぽつりと、
「だから、ご馳走はあなただけで十分だって言ったのに」
軽い口調で重い本音を呟いて、純の顔も見ずそそくさと家の中へ入っていったのだった。
舌平目のムニエルきのこ添えにほうれん草とベーコンのサラダ。そしてトマトの冷製パスタにカマンベールのフライイチゴソース掛け。以上の品々を「旨い旨い」と連呼しながら全て平らげた雪仁は、後片付けをしようとキッチンに再び立った純を呼び止めて、
「あの、風呂が沸いてますんで先にどうぞ。後片付けは俺がやっておきますから」
「えっ、雪仁くんが？ 頼んじゃっていいの？」
「もちろんです。こんな旨いもの食わしてもらったんですから」
純は眩しそうに目を細めて見上げ、
「家でちゃんと家事の手伝いしてるんだね。えらいぞ」
「あ……はい、まあ少しは………」
本当は皿洗いなど一度もしたことがないのだが、こう言われては今さら否定もできず、取り敢えず頷いておく。
純は背伸びして雪仁の頭をよしよしと撫でると、「お風呂はあっちだよね」と言ってキッチンを出ていった。雪仁は撫でられた部分にそっと指を這わせ、
「まるっきり子供扱いだもんな………ったく」
肩を落として弱々しい悪態をついた。が、「あっ」と声を上げて風呂場へ急ぐと、脱衣場の戸をそおっと開けた。シャツを肩から滑り落とそうとしていた純は、「ひゃっ」と小さな悲鳴を上げる。
「あ、す、すいませんっ。あの、新しいタオルとパジャマを用意しておきましたので」
雪仁は耳を紅く染めて右へ左へ視線を彷徨わせながら、綺麗に畳まれたミントグリーンのパジャマを手渡す。純は両手で受け取って、
「わざわざ用意してくれたの？」
「あ、はい。もちろんです。新品ですよ」
「うれしい……。ありがと」
爽やかなグリーンのパジャマをそっと胸に押し当てて、はにかむように笑う。それは愛らしいとしか言いようのない仕草で、雪仁の胸に情欲とは質の違う敬虔な愛情とも呼ぶべき温かな想いを刻み込んだ。
と同時に後ろめたい気持ちも湧き上がる。というのも、わざわざ用意したのは、純の素肌に触れたこのパジャマを、純が帰った後色んなことに使わせてもらおうという邪な思惑があってのことだったから。
一瞬だけ自己嫌悪に陥ったが、そういう年頃なんだ思春期真っ只中なんだと自分を正当化した。
「それじゃ、遠慮なく使わせてもらうね」
「は、はい。どうぞごゆっくり」
雪仁は神妙な口調でそう言って、キッチンへ戻った。そして慣れない洗い物と格闘する。
皿洗いなど初めての上、風呂場が気になって手を滑らせ、二度も皿を落としそうになる。しかし何とか全て洗い終わった頃、ちょうど純も風呂から上がって部屋に戻ってきた。
ぱたぱたと足音が近付いて扉がそおっと遠慮がちに開き、と同時に雪仁がいつも使っているボディソープの香りがふわんと漂う。しかし何故か純はそおっと扉の陰から顔を覗かせ、
「雪仁くぅん………これ、このパジャマ。何だかおっきいよ………」
赤い顔、弱々しい声で訴えつつ、そろそろと姿を現した。それを見た雪仁も顔を赤らめて、思わず「うわ……」と声を上げる。
「純さん……その格好………」
純の身体には大きすぎたのは一目瞭然。ずり落ちそうになるズボンをウエストで押さえ、シャツはボタンを全て留めているにもかかわらず、大きく開いた襟口からは細い肩や鎖骨までが丸見えになっていた。
純が着た後に自分が着ることを考えて、純のサイズではなく自身のサイズに合わせて用意したのだが、まさかこんなにぶかぶかになるとは思っていなかった。
―――純さん………こんなに華奢なんだ………
切ないような愛おしいような濃密な感慨に駆り立てられ、雪仁は無言のまま近付く。すると純はふいと横を向いて唇をちょっと尖らせ、
「あんまり見ないで………」
そう言って、パジャマの襟首をぎゅっと掴んで胸元を隠した。恥らうような仕草が可愛くて、雪仁は柔らかく目を細める。
すると笑われたと思い込んだ純は、真っ赤な顔を膨らませて「笑うなぁ」と抗議し、くるりと背中を向けて部屋を出て行こうとした。
「純さん」
もちろん雪仁は許さず、素早く身体を抱き取って力を込める。純は「んっ…」と小さな吐息を漏らしただけで抵抗はせず、雪仁の抱擁に身を委ねた。
「笑ってないですよ。ただ、あなたの表情とか仕草があんまり可愛くて……」
「嘘だ。笑ったもん……」
「笑ってないです。つうか………何だか泣きそうです」
それが嘘ではない証拠に、雪仁の肩は微かに震えていた。
「好きだって気持ちが飽和状態になると、涙が出てくるものなんですね」
「雪仁くん……」
今、腕の中にある存在への純粋な愛情に突き動かされるまま、雪仁は抱き締める力を強める。そして洗い立ての髪の匂いを肺腑いっぱい吸い込んだ。
同じシャンプーの香りなのに、何故こんなにも甘く鼻孔を蕩かすのだろう。
「純さん、このパジャマ着たくないですか？」
「………ううん。せっかく雪仁くんが用意してくれたんだし、これを着るよ」
「そうですか、残念。これが嫌なら裸でいて下さいって言おうと思ったのに」
「もおっ。雪仁くんのバカっ―――」
雪仁の頬をつねろうと手を伸ばしたら、ズボンがずるずるとずり落ちた。ウエストを押さえていた手を離したからだ。慌てて持ち上げようとしたが、それに先んじて雪仁に抱き上げられた。
「ゆ、ゆきひとくんっ」
「いいじゃないすか、このままで。シャツが長いからお尻も隠れますよ」
「そうゆう問題じゃ……」
「まあまあ。それより、俺の部屋に案内したいんですけど」
純は嬉しそうに頷いて、「雪仁くんの部屋見たいっ」と子供みたいにはしゃぐ。雪仁は苦笑を浮かべて、
「ほらほら。危ないから足をぱたぱたさせないで下さい。落としますよ」
そう言って、純を抱いたまま２階にある自室へと上がっていった。
「さあ、どうぞ」
部屋に入ると、純の身体はそのままベッドの上へ。そして照明を灯すと、純は「わあっ」と歓声を上げてきょろきょろ辺りを見回した。
「男のコの部屋だっ」
剥き出しのコンクリート壁に、黒に近い濃いグレーの絨毯。書棚やデスク、ベッドなどは全て黒で統一されている。
アーティスティックな間接照明が部屋の所々に配されている以外には特に何も置かれていない、清潔でストイックな空間だった。純は大きく瞬きをして、
「綺麗にしてるんだねえ。びっくりしちゃった」
「単に物をごちゃごちゃ置くのが嫌いなだけです。殺風景でしょう？」
純は笑って首を振り、
「確かに壁とかは冷たい感じがするけれど、間接照明の明かりが温かくて、とても落ち着ける部屋だね」
そう言って大きな枕の上にばふっと倒れ込む。そしてくすぐったそうに笑って、
「雪仁くんの匂いがするよ」
「………あなたはまた、どうしてそう男心を刺激するようなことを言ってくれるんですか」
純の笑いが、無邪気なものから艶めいたものへ変貌する。
「刺激……されたの？」
「されました………めちゃくちゃ」
純はゆっくり起き上がって、ベッドの上にしどけなく脚を投げ出して座り、
「雪仁くん、えっちな顔してる」
「そりゃそうでしょう。えっちなこと考えてるんですから」
そう言って隣に座ろうとする雪仁を、純はやんわりはね付けた。
「だぁめ。お風呂に入ってきてから。ね？」
「………分かりましたっ。先に寝ないでくださいよ」
「はぁ〜〜い」
蕩けるような媚態から一転、再び無邪気な笑顔で間延びした返事を返す純を少し怨めしげに見つめてから、雪仁は大股で部屋を出て行った。そして風呂場に飛び込んで服を脱ぎ捨てる。
案の定、傍若無人な一物は見事に天上を睨んでいたが、もう少しの我慢だと宥めつつ放置した。
そして湯船に浸かることもせず、高速でがしがし乱暴に身体と頭を洗う。逸る気持ちを抑えて身体を拭き、すぐ脱ぐとはいえ一応下着だけ穿いて、首にタオルを掛けた状態で再び二階へ駆け上がった。
「………やっぱり、そうじゃないかとは思ったんだ」
思わずぼやきが出るのも無理はなかろう。純はベッドの上でうつらうつら微睡んでいた。あと少し遅かったら、完全に熟睡していたに違いない。
そっと頬を撫でると、眉根を寄せてぐずりつつ枕に頬擦りした。雪仁は、このピローケースはもう一生洗わないぞと胸に誓いつつ、
「純さん、起きてください………純さん…………」
純はふにふに言いつつもゆるりと目を開け、そして蜜花が綻ぶように笑った。
「ゆきひとくぅん………ちょっと眠っちゃった…………」
「言わなくても分かりますよ。これで朝まで熟睡なんてしたら、明日一日監禁しますからね」
「ふふっ………監禁されたいな…………」
思いがけない返答に絶句して、顔を赤らめて項垂れる。やっぱりこの人には一生敵わないに違いない。
「あっ、雪仁くん、まだ髪が濡れてるよ。ちゃんと拭かなきゃ風邪ひきます」
純はぴょんと跳ね起きて首のタオルを引ったくり、雪仁の頭をわしわし拭き始めた。
「特に首の後ろは冷やしちゃダメ。分かった？」
「………母ちゃんみたいだ」
不貞腐れつつも純にされるがまま、大人しくじっとしている雪仁。拭き終わった純は、乱れた髪を指で梳いてやると、
「ん、いい子」
唇を押し付けてにっこり笑った。その眩い笑顔に誘われるまま、雪仁は腕を広げて抱き締めようとする。しかし純はひょいと躱して、近くの書棚を身を乗り出して凝視し、
「んん〜、えっちな本はないみたいだね。他の場所に隠してあるのかなあ」
「ありませんよ、そんなもの。必要ないでしょう？」
「読まないの？」
雪仁は肩を竦めて薄く笑い、
「ああいうのは読むものではなく、使うものなんです」
そしてきょとんとした表情で見返してくる純に、小馬鹿にしたような口調で「まあ、純さんには分からないでしょうけど」と続けた。当然の反応で純はむぅっと膨れ、
「そ、そんなことないよっ」
「じゃあ、何に使うか分かるんですか？」
「うう……それは………その………」
「ブーッ、時間切れです」
雪仁はそう言って純の身体を押し倒し、
「オカズにするんですよ。マスターベーションする時の。でも俺には必要ない。俺には純さんがいるから」
「何言って―――」
「純さんの淫らな姿を頭の中で想像するんです。例えばこんな格好とか………」
シャツの裾を捲り上げ、下着をするすると引きずり下ろす。さらにシャツのボタンを二つほど開けて、白い胸を露わにした。
「ほら、これを目にしただけでもう、こんなになってる……」
下着を持ち上げて大きく盛り上がり、うっすら染みの広がり始めた自身の股間を見せ付ける。雪仁は無造作に手を突っ込んで中のモノを取り出すと、がしがしと扱き始めた。
「こうしながら、あなたを頭の中で犯すんです。執拗に、何度も何度も……。分かりました？」
「わ、わかんない……」
雪仁はククッとこもった笑いを漏らし、下着を脱ぎ捨てた。そして、
「分からなくてもいいですけど、覚えておいてください。あなたは毎晩毎晩、俺に犯されているのです。こうして脚を広げられ―――」
言葉の通り、純の膝裏を抱えて大きく広げる。
「―――そして、可憐な蕾に陵辱の限りを尽くされているんだ。泣き叫んでも、もう許しても哀願しても解放されることなく………」
先走りに塗れた先端を純の秘部に宛がい、天然の潤滑油をぬるぬるとこすり付ける。ぬめった光沢を帯びた襞を掻き分けて指をつぷりと突き入れると、むっちりして熱い肉が激しくうねりつつ締め付けてきた。
雪仁はごくりと喉を鳴らすと、指を付け根を支点にゆっくり回した。恥ずかしそうにすぼまっていた蕾はクチュリと音をたててとろけ、さらなる陵辱への期待に震えた。
「純さん……挿れますよ」
純はシーツにしがみ付き、横を向いたままコクンと頷いた。雪仁は、重力に逆らって雄々しく天を衝く自身を純の潤みに押し当てて、そのままずぶずぶと腰を進めていった。
純は下肢を緩く波打たせて、異物の侵蝕を歓迎する。
「ン………ァ、ァァァ…………きもち…イイ……………」
全て埋め込んだ雪仁は、先に暴発してしまわぬよう腹の底に気を溜めて緩やかな注挿を始めた。
ぬぷ、ぬぷ、と秘めやかながらも濃厚な陰翳のある音と共に、血管の浮き上がった雪仁自身が純の中から引きずり出されたり押し込まれたり。
「純……さん………すげ、いい…………」
純の奥に存在する快楽の沼に引きずられるように、雪仁の動きは徐々に早く、猛くなってゆく。
純もそれに同調するように自ら腰を振り、濡れた喘ぎや甘い催促をとろとろこぼす。しかし何かに気付いたのかはっと目を開けて、
「雪仁くぅ…ん……これ、このパジャマ脱がせてぇ……汚しちゃう………」
雪仁はにやりと淫笑を浮かべて腰の動きを早めつつ、
「今、手が離せません………自分で脱いで……くれますか？」
「んっ、んっ…………だっ…てぇ……脱げないもん………」
純は抗議しつつもシーツから手を離し、シャツのボタンを外そうとする。
が―――
「キャアッ、あっ、あっ、あぁん………も………だめぇ………」
狙い澄ましたように奥の膨らみをこすられ、悶えながら再びシーツにしがみ付く。いやいやと首を振って涙を振りまき、
「おねが…い………脱がせてぇ………で…ちゃうのぉ……ぁぁ…………」
しかし雪仁は構わず、グチャグチャ音をたてて荒々しく打ち込み、やがて―――
「アッ……あ、あふっ、ふっ……ふぅ…んっ………イクぅ……イッちゃうぅ………」
純がビチビチと腰を跳ね上げて射精するとほぼ同時に、雪仁も純の中で弾けた。荒い呼吸を抑えようともせず、深く繋がったまま股間をガクガクと揺らして最奥部に熱い精を送り込む。
最後の一滴まで搾り出した雪仁は、わざとしかめっ面を拵えて、
「ああ……純さん、せっかくの新品のパジャマが、あなたのいやらしい汁でどろどろですよ」
射精の余韻に微睡んでいた純は、はっと息を呑んでおそるおそる指で探り、
「ご、ごめんねぇ………よごしちゃったの……どうしよう………」
「まったく、しようのない人だ。脱ぐまで我慢できなかったんですか？」
「だって……だってぇ………ゆきひとくんが…………ぁ、ぁぁン」
雪仁は挿れっぱなしだったモノを一気に引き抜き、「俺のせいにするなんて酷い人だ」と冷たく言い置いた。そしてすがるような潤んだ眼差しを向けてくる純を少し乱暴に引っくり返し、上から覆いかぶさった。
「そういう悪い子には、お仕置きしなくちゃな」
そう言って純の膝を立たせ、獣の交合スタイルをとらせる。腹の下に大きな枕を宛がうと、純の背中は自然と反り返って腰が高く持ち上がった。
雪仁の目の前に、たった今ぐちゃぐちゃに犯されたばかりの花が晒し者にされている。純は恥ずかしくて顔をシーツに押し付けたが、そのせいでさらに腰が持ち上がって、生々しい潤みが雪仁の視界に入りやすくなった。
雪仁はそこを指や舌先で嬲りながら、「力を入れてみろ」と命令する。純は言われた通り括約筋に力を込めた。するとさっき注がれた雪仁の精液がどぼどぼと溢れ、尻の割れ目を、太ももの内側を舐めて幾筋も滴り落ちる。
雪仁はそれを指ですくって自身の先端に塗り付けると、両手でぐいと谷間を割り開き、すでに蕾ではなく熟した果実と化したその部分に突き刺した。
「ひぃッ………ぃッ、ぃゃ、ゃっ………ゃぁぁッ…………」
純はこもった悲鳴をシーツに染み込ませ、腰をがくがく揺らして貫かれた衝撃を伝える。しかし雪仁は構わずズルズルと奥をこすり、ぎりぎりまで引き抜いては一気に抉る。
ぴちぴちに勃ち上がった純のペニスは、精液混じりの先走りを滴らせ枕をしとどに濡らした。やがて―――
「ぅぁ………ぁぁ………ぁ、ぁぁッ…………」
瞼の裏に七色の星がきらめく。次の瞬間、熱い楔に奥をズン、と掘られると同時に純は力ない悲鳴を上げ、そのまま意識を手放した。
「ぐっ………く、ぅ…………」
雪仁は喉の奥をぐるぐる鳴らしつつ、再び純の奥へ射精した。漲る情欲の粗熱が収まったのを見計らって自身を引き抜き、純の身体を抱き起こす。
が―――
「純……さん？ ………わ、もしかして…………」
純が気を失っていることに、ようやく気付いた雪仁。どうしようどうしようとあたふたしたが、呼吸が穏やかで規則正しいのを確かめると少し落ち着いた。
そおっと仰向けに寝かしてやり、腹の下に敷いていた枕を取り出す。それは雪仁の思惑通り、純の愛液や精液やらが染み込んでずしりと重くなっていた。
―――この枕とパジャマがあれば、当分は一人でも楽しめるな
雪仁は満足げに頷くと、純の隣にそっと潜り込んでその身体を抱き締めつつ目を閉じた。
ちなみに、翌朝雪仁が目を覚ました時にはすでに、パジャマも枕も純によって洗濯され、染み込んだ痕跡は全て綺麗に洗い流されていたのだった―――
（Fin）
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