Twitter小説（2013年分まとめ）
Twitterに上げた超SSをまとめました。改めて掲載するようなものでもないかもしれませんが、140字の壁に果敢に挑んださまをうっすら眺めてもらえればと。
タグや診断メーカーからお題をもらったものや、フォロワーさんとの会話から生まれたものも。即興で書くというのは初めての経験なので、楽しかったですし色々勉強にもなりました。今後も、たまったら上げたいと思います。
10月4日 #天使の日なので自分の天使かこうよ
俺は神を愛した。ただ神だけを。なのに神は人に仕えよと言う。人…あの中途半端に神を模した不完全で醜い生き物に。俺は耐えられなかった。だから俺は叛いた。俺の叛逆は、神への愛ゆえだ。地獄の業火をも凌ぐ、神への愛。
私は神を愛した。ただ神だけを。ゆえに人に仕えよという神の命に従った。私の働きは認められ、神に最も近い光の子として君臨した。私は歓喜のうちに歌う。聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。なのになぜ、私はこうして地獄の淵を覗き込んでいるのか。
俺は地獄にいる。地獄とは愛する者の不在、即ち神の不在だ。しかし俺はこの地獄でひたすら神を想う。神は俺の中にいる。俺はいつでも思い出すことができる。神の怒り、憎悪、無慈悲な命令。「堕ちよ」。俺は歓喜に打ち震える。ここは地獄だ。しかし天国だ。
私は地獄の淵で耳を澄ます。間断なく湧き上がる鬼哭。しかしそれに混じって、歓喜の歌が聞こえる。聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。ああ、汝なのか。誰より神を愛した叛逆者。何が正義なのかもはや私には分からない。ただ、私は汝に会いたい。サタンよ
10月31日 #ハロウィン
ハロウィンの日には、死者の霊がこの世に降りてきて悪戯するんだって。だから身を守るためにお化けとか魔物の仮装をするんだ。なら僕は仮装しない。だってたっちゃんが僕の所に来て、悪戯してくれるかもしれないし。ねえ、僕待ってるよ。早く悪戯しに来て…。
ハロウィンは嫌いだ。どうしたってあいつのことを思い出す。仮装パレード、大聖堂を彩る花火、祝祭的な空気…。楽しかった、幸せだった。それ以外の言葉が見つからない。そして、ずっと一緒にいようと誓い合った。なのに…。
その数日後、純は俺の前から消えてしまった。
いいか、昴、よく聞け。そもそも犬族と猫族ってのはな、太古の昔から相容れない存在なんだ。互いに反目し合い、牽制し合って生きてきた。つまり猫にとってお前みたいなデカわんこは敵で……だからッ、俺に無理やり黒猫コスプレさせようとすんなーーーっ！ 昴、お座りッ！
11月1日 #犬の日改めわんこ攻めの日
「真琴っ、今日は11月1日。わんわんわん、で犬の日だ。つまり、犬が飼い主に遠慮せず甘えることができる日なんだ」
昴はそう言って、俺に勢いよく抱き着いてきた。見れば、俺がジョークで買った黒い革の首輪をしている。 てかお前、今まで遠慮してたのかよ…。
11月4日 #いい尻の日
「夏野君、今日は11月4日、いい尻の日だ。だからちょっと違うポーズで撮ってみようか。後ろを向いて腰をひねって目線はこっち。うん、それでもっとお尻を突き出してみようか。ほらほら、もっともっと…」
「ふぇぇ…（結城先生、いつもと違う）」
「言っただろ？ 今日は11月4日、いい尻の日だ。あと1時間で終わっちまうんだから、さっさとケツ出せよ。可愛がってやるから」
「尭村さん、1月14日も同じことゆった…」
11月5日 #いい子の日
「奏、知ってるか？ 今日は11月5日、いい子の日だ」
そう言ってあの人は優しく目を細めた。きっと、宙美ちゃんのことを思い出しているのだろうと思ったのだが
(´._.｀)＼(^-^ )
「いきなり何すんだよ！」
「いい子の日は、大事な人をいい子いい子する日だぞ」
この男たらし…。
11月8日 #いい歯の日
黒衣の優雅な背中が振り向けば、あの人だった。いつもの剣呑な美嗤笑を浮かべつつ近づいて、なぜか僕の頬にかぷりと噛み付く。い、痛いよ尭村さぁん…。
「ていう夢を見たんです。不思議でしょ？」
「ああ？ それはな、純。ちゃんと歯医者に行って虫歯治せってことだ」
「うう…（歯医者ヤダ）」
ディナーの時間。まずは前菜のキスを終えると、僕は背伸びして柘榴氏の牙に軽く口づけた。 「いきなりどうしたのですか？ 月深さん」
うろたえる柘榴氏が可愛い。僕はくすりと笑い、
「今日はいい歯の日なんです。柘榴さん、その牙大事にしてね」
柘榴氏は艶冶に笑むと、僕の首筋に牙を立てた。
11月8日 #刃物の日
「瑠羽ちゃん。どんなに乞われても、客に本名を教えてはいけないよ。本名で呼ばれたりしたら惚れてしまう。それで傷つくのは僕たち男娼の方なのだから。でももし惚れてしまったら…」
あの美しい人は「お守りだよ」と言って淋しそうに笑い、この短刀をくれたのだ。そして僕は今、それを握り締めている
11月9日 #いい奥さんの日
「蒼舞、そろそろ起きなさい。朝食ができてるぞ」
「待て。ボタンが取れかかってる。すぐに直すから脱ぎなさい」
「風呂が湧いたぞ。寒くなってきたから、脱衣所を温めておいた」
「肩を冷やさないよう、ちゃんと布団をかけなさい」──受けが奥さんとは限らない
11月11日 #チーズプレイとは
「圭祐！ 今日はチーズの日だから、俺がチーズフォンデュ作ってやる！」
「薫、ちょっと待て。固形チーズをいきなりレンジに入れると…」
「うわ！ チーズが爆発した！ うええ、チーズ塗れだ」
「…成る程。こういうことか。では頂こう」
「やッ…だ、どこ舐めんだよお」
11月11日 #ポッキーの日
「結城センセ。今日はポッキーの日だから、ポッキーゲームしましょう！」
「えっ、僕と？ 喜んで！」
「はい、じゃあ一本ずつ持って、バッテンに交差させて端を持って」
「？？」
「いち、にのさん！」
バキッ
「あ、結城先生のが折れた。先生の負け～」
「…（そんなことだろうと思った）」
「喬兄、今日はポッキーの日だからポッキーゲームしよ。やり方は知ってるよな」
喬允は渋々ながら頷き、箱から一本取り出して口に咥えた。すると、
「合格！ 相手のことを好きならチョコの付いてる方を差し出すんだって。名づけてポッキーゲーム占い」
奏はそう言って、嬉しそうに片端を咥えた。
「純、今日はポッキーの日でチーズの日だ。ということは、ヤることは一つだ。ポッキーにチーズをとろりと…」
「尭村さんっ、やめて下さい！ そんな…」
「用意はしてある。ほら、来いよ」
「待っ…あ、あれ？」
「ポッキーでチーズフォンデュ。結構旨いぞ」
「……頂きます（赤面）」
11月14日 #いい石の日
ずっと石になりたいと思ってた。石なら誰からも顧られることもない代わりに、馬鹿にされたり嗤われたりしないから。でも、
「夏野、また笑顔を見せてくれ」
「夏野君にしかできない表現があるんだよ」
そう言って、手を差し伸べてくれる人がいる。強固な結晶の檻から、僕は一歩踏み出した。
11月15日 #七五三
「純たん！ぼく、七五三だよ。今日で大人になったんだ！」
羽織と袴を身に着けた雪仁君が駆け寄ってくる。ふふ、無邪気で可愛いなあ。
「大人になったから、ベッドの上で純たんとぎゅうぎゅうってできるんだ！」
「…え、えっと」
背後に殺気を感じて振り返ると、そこにもう一人の五歳児がいた。
診断メーカー 11月19日
雅人と純で悲恋ものを創作するならお題は／①いつかまた会える日まで／②喉が擦り切れて血がにじんでも／③今さら初恋だなんて です
雪の日の静寂は、結晶があらゆる音を吸収するから。喉が擦り切れて血がにじむほど叫んでも、無情な結晶に吸い込まれあなたには届かない。でも僕は信じてる。いつかまた会えると。穢れたこの心と身体に、初恋という神聖と清浄を贈ってくれた愛しい人。
たっちゃんと柚葉で悲恋ものを創作するならお題は／①あなたがいなくなった後／②今もどこかで幸せでいて／③君の名を最後に呼ぶ です
「なあ、ゆず。俺が死んだらどうする？」
「はあ？ 何バカなこと言ってんの？」
「俺が先に死んだらさ、お前はさっさと俺のこと忘れて、幸せにならなくちゃ駄目だぞ」 「……」
そして彼は言葉通り、僕の幸せのために奔走した。 たっちゃんのバカ！
11月20日 月曜日擬人化
僕は嫌われ者だ。僕を見るとみんな顔を顰めて、あっち行けとかいなくなればいいのに、とか言う。もう嫌われるのには慣れてしまった。でもたまに、優しくされることがある。それがとてもつらいんだ。なんでだろう、僕は僕なのに。何も変わらないのに。ただ、赤色になっただけなのに。
11月21日 #ボジョレー解禁
「ライアン様、ぼじょれかいきん！」
「なんだそれは。新しく覚えた呪文か？」
「違います！ぼじょれっていうワインが今日から飲めるんです。僕も少しだけいいでしょ？」 「そうだな、夜になって人間化したら少しは…」
ホイミン気を付けて！どうやらライアンはエロいことを考えているようです。
11月21日 #うちの子が寂しいという言葉を使わずに寂しさを相手に伝えるとしたら
昴「真琴っ、明日の宿題やったよ！ 予習もやったよ！ 今日の復習もやったよ！ それから──」
真琴「ああ、分かった分かった！ 泊まってっていいから！」
「ああ？ 帰るとか言ってんじゃねえよ、明日の体育には支障をきたさないよう加減するっつってんだろ、つうか言うこときかねえと監禁するぞ」
誰とは言わんが尭村。
11月22日 #今日はいい夫婦の日なのでうちの子が恋人の好きなところについて語る
純「短気で粗暴で怒りっぽくて嫉妬深くてえっちがしつこくて所構わずしようとして、やめてってゆってるのに嘘つけ本当は嬉しいくせにほらこんなに濡れてるじゃねえかとか言ってくるけど、僕だけを愛してくれるところ」
尭村「90対10くらいじゃねえか、おい（怒）」
11月22日 #いい夫婦の日
「游月、今日は何の日か知ってますか？」
「もちろんです。今日はいい夫婦の日でしょ？ 透麻さん、これからも末永く──」
「違います！ 今日はいいにゃんにゃんの日です。だから游月、今日一日はこの黒猫コスプレで、猫言葉を使うのですよ。いいですね」
「……分かったニャン」
隆矢お兄ちゃんの家に呼ばれて、縁側で並んでお茶を飲んでいると、
「優里、今日、11月22日はいい夫婦の日だ。この日に籍を入れるカップルも多いらしい」
「そうなんだあ」
「ああ。だからな、その、俺たちも…」
「なあに？」
「いや、公的には認められないけど、俺の気持ちは…」
お兄ちゃんの顔が赤い。どうしたのかな。
「俺は、優里と末永く…」
「やあ、こんにちは！優里さんがこちらだと伺ったので」
「てめえ、有栖川！」
「優里さんの好きな栗最中ですよ。一緒にいかがですか」
「はい！ぜひ」
栗最中美味しー。ところでお兄ちゃんは、何を言おうとしたのかなあ。
久遠「師よ。俺はただ一人の弟子として、救世主である貴方の体調管理に努める義務がある。これからは栄養バランスを考えた身体にいい食事を俺が作ることにした。今夜は何がいい？」
伶「ビッグマック！」
11月22日 #わんわんにゃんにゃんの日
いいか、昴、よく聞け。犬族と猫族ってのはな、太古の昔から相容れない存在なんだ。互いに反目し合い、牽制し合って生きてきた。つまり猫にとってお前みたいなデカわんこは敵で……だからッ、わんわんにゃんにゃんの日だからって俺に無理やり黒猫コスプレさせようとすんなーーーっ！ 昴、お座りッ！
11月26日 #うちの子でお伽話パロ 【白鳥の湖】
お前はいずれ、政略結婚の贄として隣国の暴君に嫁がせられる運命だった。だから俺はお前を攫い、呪いで白鳥の姿に変えた。俺を憎みたければ憎め。怨みたければ怨め。お前に真実を告げることはないだろう。 これが、俺の愛し方だ。
湖のほとりで出会った王子様はとても優しく、僕に永遠の愛を誓い悪魔の呪いを解いてくれると約束した。やっと自由になれる！ なのになぜだろう、僕の心は沈んだまま。気がつけば、闇が結晶したかのような悪魔の黒瞳を想っている。
やめておけ。永遠の愛だの誓いだの、軽々しく口にするヤツはすぐに裏切る。お前はこの深い森で、俺の呪いに護られ甘美な諦念をともがらに、穏やかな日々を過ごせ。それがお前の幸せなんだ。
11月26日
昨日の強風で落ちた銀杏の葉が、道を黄色く染め上げる。正門から校舎に続く並木道。あと何回、この道を二人で歩けるだろう。
「受験が近いから、もうあんまり会えなくなるな」
「うん…」
同じ大学に行きたかったけど、俺の学力じゃ到底無理。そっと見上げると、彼は真っ直ぐ前を見ていた。貴石めいた茶色の瞳には、確かな未来が映っているに違いない。そこに俺はいるのかな…。なんてことを考えてたら、足元が疎かになった。滑って転びそうになる。
「うわっ」
「危ねっ。銀杏の葉は滑りやすいんだ。気をつけろ」
「受験生に滑るとか言うなっ」
「お前が悪いんだろ」
すると彼は仕方ないなと言わんばかりに目を細め、いきなり俺の手をぎゅっと握った。
「こうしていれば、どちらかが転びそうになった時、どちらかが助けられる」
俺が助けてやる、と言わないところが彼らしい。自然と口元が綻ぶ。
「うん、そうだな。これからも一緒に歩いていこう」
並木道の、思い出。
11月26日 #いい風呂の日
何でお前と温泉に入らなくちゃならねえんだよ！」
「それはな、尭村。俺達が、温泉に来たんだからのんびりしたいっていう恋人の気持ちを無視して、無理やりヤろうとしたからだ」
「くっそ」
「ま、たまにはこういうのもいいだろ。なあ？」
「片瀬…。この状況で流し目ヤメろ」
11月28日 #ニーハイの日
第1回ニーハイの日記念、脚線美対決！
「優勝候補？ そんなの純に決まってるだろ」
「愚問ですね。游月の脚線美に敵う者などいない」
「瑠羽の脚は白鳥の頸のように白くしなやかだぞ」
などと言いつつ、心の底では俺（私）の脚が一番美しいと思ってる…かも。
「夏野君！今日は僕がデザインしたこのニーハイを穿いて撮影しよう」
「え？これを結城先生が？」
「も、もちろんだよ。この鉱石めいた質感、洗練されたフォルム…」
「でも、タグにメイドインチャイナって…」
どうやら結城は、今日がニーハイの日と知って慌ててスーパーに買いに行ったようです。
11月29日 #ニーハイの日からのいい肉の日
「結城先生、昨日もらったニーハイ、ちょっと小さいみたいです。太ももがキツくて」
「ん？ どれどれ。ああ、この位がちょうどいいんだ」
「でも、ゴムが太ももに食い込んで、お肉がムニってなってます」
「……（眼福）」
11月30日 #鏡の日
我が家には、全身を映す姿見がない。
レッスン中はずっと鏡を見ているから、家にいる時は解放されたいんだ、鏡を見るとつい自分の欠点を探してしまうから──そう言って笑う彼は、決して手に入らぬ彼岸のイデアを求め、たゆまぬ努力を続ける求道者だ。だから私は毎朝彼の身だしなみを整える。ゆっくりと髪を梳き、襟を直し、服の皺を伸ばす。慌ただしい朝の、贅沢な時間。どこか淫靡な儀式。
「鷲塚さん、ありがとう」
「では、そろそろ行くか」
そうして彼はまた、鏡と格闘する世界へ。さらなる高みを目指して──
12月1日 診断メーカー
雅人 純で殺伐・ヤンデレものを創作するならお題は／世界から見捨てられた場所／とても綺麗な色の瞳だから／向けてくれる感情は憎しみでいい です
世界から見捨てられた場所で、腐りつつある心と体を持て余す。そんな僕にあなたは手を差し伸べてくれた。魔棲の瞳と詰られた紫の瞳を、とても綺麗だと言ってくれた。なのに、いやだからこそ僕はあなたを裏切る。雅人、僕を憎んで、憎んで。あなたの憎悪こそが、僕の生きる糧。
12月3日 #妻の日
「純、今日は妻の日らしいぞ。おら、裸エプロンやれよ。妻の務めだぞ」
「絶対に嫌です！尭村さんのバカ！」
10年後──
「純、今日は妻の日らしいぞ」
「そうなんだ。じゃあ、裸エプロンでもしよっか？」
「いらねえよ。お前はそのままでいい」
「成仁のバカ…」
これを成長と呼ぶ。
12月5日 #もし人の死後が星ならば
泣かないわ 涙であなたが 曇るから
「ロマンチックだと思わない？」
「ははっ、星と星の間って、どの位距離があると思ってんだ。暗黒の宇宙に、独りで浮かんでるんだぞ。結局、人間は死んでも孤独ってことだな」
そう言って陰気に嗤った彼は、もういない。暗黒の宇宙に独り、ぽつんと浮かんでいる。
瞬きの 数をかぞえて 会話する
「たっちゃん、空の上から僕達のこと見てくれてるよね？」
ちか☆
「これからも、ずっと見守ってくれるよね？」
ちかちか☆
「ところでたっちゃん、僕と優君のエッチ、空から覗き見してない？」
ちかちかちかちかちかちかちかち──
「やっぱり覗いてるんかい！」
12月12日 #ダズンローズの日
「純たん！これプレゼント。きょうは、しゅきな人に12本のばらをあげる日なんだよ」
雪仁君はそう言って、紙をくしゅくしゅに丸めて作った花束をくれた。確かに今日は、ダズンローズの日。最近の幼稚園児はこんなことも知ってるのかと感心しつつ、「ありがとう」と笑顔で受け取った。
さすがの尭村さんも、この無邪気で可愛いプレゼントを受け取るなとは言わないだろう、そう思ったのだけど、
「あのね、ばらにはいみがあるんだよ。これがあいで、これがじょうねつで、これがえいえんで…」
背後に不穏な気配を感じて振り返ると、こめかみに血管を浮かせたもう一人の五歳児がいた。
12月13日 ＃双子の日
双子で先に生まれた者は露払と呼ばれ、後に生まれる者のために障害を排除する役目を負う──
「なんで秀は弟のくせに俺よりデカいんだよっ。お兄様をたてろよ！」
そう言って直は俺の先を歩く。この華奢な背中に、これまでどれほど守られてきただろう。俺はいつか、お前を超えられるのだろうか。
12月14日 #恋人が実は自分が心底憎んでいた相手だと知った時のうちの子の反応
尭村「これで監禁する理由ができたな（ニヤリ）」
12月18日 101回目のプロポーズ即席BL版
「僕は死にません！ あなたが好きだから。絶対幸せにしますから！」
端整な顔を歪めて叫ぶ彼に、俺は駆け寄る。嘗て事故で恋人を喪った記憶は、まだ俺の心に爪を立てている。でも…。
「ばか…やろ！危ない真似しやがって。お前まで死んでしまったら、俺はっ…」
彼は笑って「死にませんよ」と言った。
12月20日 #自宅っ子でご飯にするかお風呂にするかそれともワタシをやってみる
純「ご飯にする？ お風呂にする？ それとも──」
尭村「食って入るんだから、どっちもお前だろ」
純「……」
12月21日 #遠距離恋愛の日
星との距離は光年という単位で表す。1光年は9兆4600億km──
「自分に遠距離恋愛は無理だと思ってた。淋しくて耐えられないって。でも僕、頑張ってるよ、たっちゃん」
夜空に向かって語りかけると、星がちか、と瞬いた。
12月24日 クリスマス
「純たん！今日はクリスマスだよ。サンタさんがくるんだよ。早くしたくしなくちゃ」
雪仁君てば、顔真っ赤にして興奮しちゃって。仕度って、靴下を下げておくんだろうな。あ～あ、尭村さんにもこんな可愛い時があったんだろうなあ。
「えんとつから入ってくるから、ここにこうして…」
今は使われていない暖炉の下に、網のようなものを広げる。
「雪仁君、これは一体…」
「サンタさんを捕まえるわな！これで、ほしいものたくさんもらうんだ！」
「お、雪仁やるじゃねえか。男はそのくらい貪欲な方がいいぜ」
「……（サンタさん、逃げて～）」
恐るべき尭村家の遺伝子。
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