「お前ももう、指じゃ我慢できねえだろ？」

京極はにやけた声でそう言うと、勢いよく指を抜いた。じゅるっという水音がこぼれ、無理やり広げられていた純の蕾が再び閉じる。しかしそこは、ピンク色、と呼ぶには余りに艶かしい肉色を帯びて、次の挿入物を誘うかのようにひくひくとけいれんしていた。

京極は、二人の男に脚を押さえさせたまま、その淫らな襞に吸い付いて、擦るように丁寧に舐めあげた。

「あぁぅ……うっ、い、やああぁぁ……」

純はほとんど無意識のうちに脚を閉じようとするが、二人の男に拘束されていては、どうすることもできない。じっくり舐るように舌を這わせた京極は、漸く口を離すと、唾液でべちょべちょの蕾を親指の腹で強めに揉み始めた。

くちゅ、くちゅ、くちゅ―――

そして身体を起こし、脚を押さえていた二人の男に退がれ、と命令した。
持ち上げられた純の脚を自分の肩に乗せ、白い身体の上に覆いかぶさる。腹にぴったり密着するほど勃ち上がって、熱い締め付けを要求している肉の柱を掴むと、狭い入口をえぐるように勢いよく突き刺した。

「ぃっ、いやああああああぁぁっ」

正常な感性の持ち主なら、思わず耳を塞ぎたくなるような痛い悲鳴。しかし情欲に汚染された男たちの耳には天上の音楽。彼らはうっとりとそれに聞き入った。

一人京極はそれどころではなく、予想以上の締め付けに何度も持っていかれそうになりながら、激しく腰を打ち付けて内壁を擦り上げた。

「いっ、痛い、痛い、イタイよぉ……やめてぇ………」

あれほど指でとろとろにほぐされたというのに、純の身体そのものが、筋肉が、粘膜が、京極の侵入を拒絶しているのか、蕾の入口はぎりぎりと固まって、快感どころか痛みしかもたらさなかった。

しかし純の悲愴な訴えも、京極の嗜虐欲を煽るだけ。だらしなく口許を緩めると、さらに脚を高く持ち上げて、上からガツガツと打ち込んできた。

「ひいぃっ……」

喉の奥が恐怖に震えて、声を上げることもできない。視界に白い靄がかかり、感覚や感情が麻痺してくる。そんな朦朧とした頭の隅で、純はある考えに縋った。
そうだ、今僕を抱いてるのは尭村さんだ、尭村さんなんだ。だから怖いことなんかない―――

惨めな逃避には違いない。しかしそうやって自分を欺かないことには気が狂ってしまうと、純の本能が防御行動に出たのだろう。
純はひたすら愛しい人の姿を思い浮かべ、その幻影を求めた。

「あぁっ、っん……あっ、あっ……はぁっん……ぁきむらさぁん………」

半開きの唇からこぼれる熱い喘ぎに混じって現れた名前を、京極だけは敏く聞き付けた。
その瞬間、鳩尾の辺りからむらむらと湧きあがるのは、新たな快楽でも情欲でもない。他の男の名前を呼んだ純への怒りと、極限の状態でも純の頭を支配している男への嫉妬。

「てめえ……」

京極は、濁りきった瞳をぎらぎらと輝かせて、さっきとは打って変わって甘い表情を浮かべる純を睨みつけた。
桜小路は、燃え立つ股間と蕩ける頭に翻弄されながらも、一瞬だったが京極の表情に戦慄を覚えた。
この男が、こんな激しい感情を露わにするとは。怒りも恐怖も憎悪も、にやにや笑いとガラス玉の瞳の奥であっさり消化されて、面てに出ることはなかったのに。

しかしそんな感慨も、目の前で犯されている純の嬌声や艶姿で掻き消された。京極のリズムに合わせて小さく腰を振る純。その動きは控え目ながらも十分淫らで、桜小路だけでなく、そこにいる男全員の股間を直撃した。

「あぅっ、くぅっ……ぅん、はぁん、あん、あぁっ、ああぁっっ」

京極の動きが止まった。いや、微かに腰を揺らしている。どぴゅっ、どぴゅっ、と奥へ注ぎ込んでいるのだ。

やがて動きは完全に止まり、京極はゆっくりと純の中から自身を抜き出す。まだ太さも硬さも十分に保っている陰茎に、とろとろに熟れた純の襞が絡み付いているのが見える。
京極はそれを周りの男たちに見せ付けるように、わざとゆっくり引き抜く。そして、ずちゅっという湿った音と共に完全に抜かれると、ほうっと息をついた。

「すげえぞ、こいつ。こんなのは初めてだ。全く、恐れ入る」

掠れた声でそう言うと、ぐったりと横たわる純の身体を持ち上げて引っくり返した。手錠をはめられた両手を胸の下に敷いて、うつ伏せの形になる。
京極は、小さく引き締まった双丘に手を掛けると、

「おい、膝を立ててケツを上げろ」
「い、いや………」
「ケツを上げろっ」

語気も荒く命令して思い切り爪を立て、白い肌に赤い爪痕を付けた。純は突然の痛みに呻きつつ、言われた通りに膝を立てた。
すると京極は、割れ目に指を差し込んでぐっと肉を開き、今犯されたばかりの孔を男たちの目に晒してみせた。

「あと５人のモノを受け入れるんだぜ、ここが……」

京極は嗤いながらそう言うと、先刻のように親指の腹で蕾を強く揉んだり、襞をなぞったりした。

「おい、ココ緩めてみろ」
「や……だ」

京極は、今度は強く命令することはせず、代わりに、太ももの付け根の、敏感な薄い皮膚をざらりと撫でた。

「あ……んっ……や、やぁっ………」

思わず緩めてしまった後孔から、京極の濃厚なモノがどろりと溢れて内股を伝い、床へ落ちてゆく。その生温かい感触は不快以外の何ものでもなく、純は思わずきゅっと後ろをすぼめる。

「こんなにお漏らしして、しょうがねえなあ」

京極はからかいながら、今度は蕾を無理やり押し開いた。すると、赤くめくれ上がった花びらがひくひくと蠕動しながら、白い液体をとろとろと吐き出した。男たちは一様に、ごくりと喉を鳴らす。

「おら、新聞部」

京極が短く声を掛けると、はっと我に返った二人は慌ててカメラを持ち直し、淫らな排泄を続ける淫らな口にカメラを向け、何度もシャッターを押した。

「うぅっ……うっく………」

何を撮られているかと思うと、羞恥の余り叫び出したくなる。しかし、そうすればますます彼らを煽ることになると、純もようやく分かってきた。唇をぎりぎりと噛んでこみ上げる悲鳴を抑え込む。

「淫乱なお口だな。まだ物欲しそうにひくひくしてるぜ」

京極はそう言うと、純の腰をがっしりと抱え直して再び突き入れた。

「きゃああああっ」

予期していなかった衝撃に、純は堪えていた悲鳴と涙をこぼして首を振る。

「もっ……もうやめてぇ……あぅっ…うっ、ううっ」

５人の非難の視線など気にも留めず、京極は激しく打ち付ける。そうしながらも腰を回して角度を変えていると、奥の方で肉の微かな膨らみを感じた。思わずにやりと笑い、そこを目がけて打ち込んだ。

「あああぁぁっ、だっ、だめぇっ……いやぁ……ソコいやああぁぁっ」
「んっ？　ココか？　ココがいやなのか？」
「あぁっ、あぁっ……んっ、いやっ…ソコぉ……はぁん……ああん……あぁっ」

すっかり勃ち上がって、割れた先端からぽたぽたとこぼれる涎が、言葉を裏切って快楽の全てを物語っている。もう痛みはほとんどなく、あるのは身体じゅうを拘束している快感ばかり。

「うぅっ、……すげえ、すげえよ……たまんね……」

京極は虚ろな呟きを漏らしながら、純の奥に二度目の精を放った。そして引き抜くと、純の身体を乱暴に投げ出して、

「……秋原、最高だったぜ―――」

しかし、京極の声は純まで届かない。意識は辛うじて繋がっているが、全ての感覚にぼんやりとした霞がかかっており、現実感がない。
複数の男の声が途切れ途切れに聞こえるが、意味のない単語の羅列として頭の中を通り過ぎるだけ。

―――あきむらさん……

この後、自分がどうなるのかは分からない。けれど大丈夫。尭村さんが来てくれる―――純には確信があった。

尭村さんは、もうすぐ傍まで来ている。僕には分かる。だから怖いことなんてない。

「――このカードを引いて、数字の少ない人から――――」

ほら、もうあの扉の前にいる。そして僕を助けてくれる。

きっと、助けてくれる―――
（Fin）

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